2019年10月01日

意味のある偶然の一致“着いた、着いた。目的地に着いた”

私どもは「元気の力を暮らしに生かす」を社是とする会社でございます。『元気』というのは、“自我を超えた宇宙の働”と思われますので、“自然に学び、自然に帰る”をモットーとして、日常活動の指針とさせていただいています。


『気』をテーマとする仕事をしていますと、「偶然にしては、実にタイミングがぴったりで、うまく出来ているなあ。不思議だなあ」と思わざるを得ない現象に出合うことがあります。“共時性(シンクロニシティ)”と呼ばれる現象ですが、科学性、論理性を超越していて、世間一般的な見方をいたしますと、“おかしなことばかり言う、いい加減な奴だ”と言われかねません。


私たちが生活している「この世」には、因果律という法則が支配している、すなわち原因があってこそ結果が生じると信じられています。しかし人間の脳は、宇宙を創造し宇宙を動かし続けている波動に共振する可能性、すなわち、この世の掟ともいえる因果律を超越した、真の創造性を秘めた存在なのかもしれないということに気づかされます。



“シンクロニシティ”という言葉は、20世紀を代表する心理学者の一人、カール・グスタフ・ユングによって生み出された言葉と言われています。ユングの患者の一人に、自分にとって都合の悪いことは何でも意識から除外してしまう治療の困難な女性がいました。ある日、治療を行っているとき、昔、ある男から、甲虫をデザインした高価な宝石をプレゼントされたという内容の話をしていたのだそうで。ユングがこの話を聞いている時、後ろの窓をコンコンとたたく音がしました。


ユングが振り返ってみると、大きな甲虫が窓ガラスに体をぶつけている所でした。ユングは窓を開けて、背中が虹色に輝く甲虫を捕まえて「さあ、これがあなたの虫ですよ」と言って、その患者に渡しました。夢で見たのと同じ虫を見たその女性患者は、自分独自の世界観が音を立てて崩れ去っていき、これがきっかけとなって、ユングの治療を素直に受け入れるようになったのだそうです。



こうした“偶然にしては意味のある出来事”を、何回も経験したユングは、「シンクロニシティ」という言葉を創りだしたと伝えられています。
私たち現代人も、人生の途上において、このような“偶然にしては、何か意味を感じるなあ”と思わざるを得ない“偶然の一致”を体験するのではないでしょうか?



土の働き


私も人生の道中で、さまざまな“シンクロニシティ”を体験いたしましたが、中には、土地すなわち『土』も仲間なのかもしれないという体験を数多くしています。仕事にも関連していますので、あえてご紹介させていただくことにいたします。


《その1》
 もう40年以上前のことです。新しい仕事をするために、京都府南部の木津という田舎に引っ越してきたのですが、住むところがないので、会社の倉庫を少し改良して家族とそこに住んでいました。ある時、2階の別の部屋の窓から、外を眺めていると牧田工業(仮名)という建築会社の土地と小さな建物があるのに気づきました。その晩、夢を見ました。社長の牧田さんに「あの土地を譲ってもらえないだろうか」と夢の中で声をかけると、牧田さんは「ああ、いいですよ」といとも簡単にOKの返事だったのです。目が覚めてそれが夢であったことがわかり、がっくりでした。


次の日、用事があって、近鉄電車で難波まで行くことになっていました。そして途中の「大和西大寺」という駅で、「難波行」の電車に乗り換えるために階段を降りていくと、そのホームに牧田さんが立ってこちらの方を眺めておられるではありませんか。目がばっちり合ってしまいました。


そこで一緒に特急電車に乗り、運よく隣の席が空いていましたので、そこに腰を掛け「あの土地、譲っていただけませんでしょうか?」と声をかけると、「ああ、いいですよ」と夢と一緒の答えが返ってきてびっくりしたのが思い出されます。


そこに自宅を建てて、今でも住んでいるというわけです。時々「人生、どうなっているのだろうか?」と思うことがあります。どうなっているのでしょうね?



《その2》
 トータルヘルスデザインを創業する2〜3年前のことです。当時、工場を建てるつもりで、岡山県に土地をもっていました。しかし「もうその仕事はやめにしたい。その土地を売って、新会社の設立資金にできれば良いな」と思っていたところ、何も言っていないのに、その土地のある役所の方から「あの土地、引き取りましょうか?」という電話が入り、びっくりしてしまいました。


おかげさまで、スムーズに事が運び現在に至っているというわけです。



《その3》
10年ほど前のことになりますが、京都の鹿背山という、お客様にお越しいただくには、大変不便な地に事務所を構え、仕事をしていました。不便な上に駐車場も狭く、「何とかしなければ・・・」と思っていたのですが、そんなある時、農業を営んでおられるA氏が「近藤さんに紹介したい人がいる」と言って、ご近所にお住まいの木津のことに詳しいM氏と一緒にお越しになりました。そこで、M氏に何気なく「どこか良いところがあればご紹介ください」と依頼しました。


社屋を建てたばかりの時で、お金もスッカラカン、転居するどころではなく大変だったのですが、何故か「次のようなところで仕事がしたい」ということが念頭にありました。
「①千年の都としての伝統をもつ『京都』②21世紀に求められるのは『大いなる和』、すなわち『大和』の地③弥栄、弥栄。高次元エネルギーの降り注ぐ『イヤシロチ』④お客様にお越しいただくにも、便利なところ」
―そしてご紹介いただいたのが、“高の原”にある現在の京都本社の土地なのでした。


『原』の語源は“波羅”すなわち極楽浄土のことだそうです。般若心経には、『ギャーティギャーティ波羅ギャーティ(“着いた、着いた。目的地に着いた”)』と詠われています。“高の原”すなわち『高次元エネルギーの降り注ぐ弥栄の地』で皆様のお役に立ちたい、と社員一同切に願っている次第でございます。


参考文献:
*河合隼雄「ユング心理学入門」培風館




Posted by THDstaff at 10:00