2013年01月04日

1月 忘れられた初期情報

日本人の使命


2012年は京都大学・山中伸弥教授のノーベル生理学・医学賞受賞のニュースで、日本の国全体が、わくわくと湧き上がった一年でした。


私たちの肉体は、一個の受精卵から出発して皮膚や神経などに成熟していくのですが、やがて年老いてその働きも衰えていきます。皮膚や神経などの細胞は増殖したり老化したりすることはあっても、時間に逆行してもとの受精卵にまで引き戻すことはできない、すなわち若返ることはあり得ないというのが常識でした。


ところがです。山中教授の研究によって、マウスの皮膚からとった細胞に4種類の遺伝子を入れて培養すると、受精卵のような働きをもつ万能の細胞ができるという驚くべき結果が得られたのです。若返りどころか受胎の時までさかのぼる、この万能細胞が山中教授のノーベル賞受賞の立役者であるiPS細胞です。



神の領域に直面した現代科学


皮膚という成熟した末端の細胞を出発点の細胞に戻すこと、すなわち【初期化】に成功したというのが山中教授の受賞理由です。誰もがイノチの流れは一方通行と思っていたのではないでしょうか?


「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり・・・・・・」
私たちにはなじみ深い平家物語の一節ですが、日本人の無常観も揺らぎ始めるのかもしれませんね。老化するはずの細胞が、生まれた時のような初期の状態にまで引き戻されて、神経や心臓、肝臓などあらゆる細胞になる能力をもったのです。


たとえてみれば40歳になった中年のおじさんが、もう一度お母さんのお腹の中の受精卵に逆戻りし、新しい人生をやり直すことになったというお話ですね。【初期化】の研究では、十数年前にクローン羊ドーリーの誕生が新聞紙上をにぎわせたことで有名です。


ドーリー誕生のメカニズムは次のとおりです。
(1) 6歳のメス羊の乳腺細胞を飢餓状態にしておきます。
(2) 別のメス羊の未受精卵から細胞核を除去します。
(3) (1)の細胞の核を(2)の細胞に移植します。
(4) 核移植した(3)の細胞を別の代理母の子宮に移しかえるとドーリーが誕生しました。


山中教授と共同受賞した英ケンブリッジ大学のジョン・ガードン教授の研究は、オタマジャクシの体細胞から核を取り出して、核を取り除いたカエルの未受精卵にその核を入れると【初期化】されるというものです。


一方、山中教授の研究は、マウスの皮膚からとった細胞に、たった4種類の遺伝子を入れるだけで、あらゆる細胞に成長する能力をもつ細胞になることを明らかにしたのでした。

核移植をしなくても【初期化】が可能になったのです。


マウスでは、iPS細胞から精子や卵子もできるということが確認されているそうですから、いよいよ「神の領域」がテーマになる時代を迎えつつあるといってよいのかもしれません。


山中教授の研究によって、脊椎が傷ついたマウスや小型のサルに治療効果があったことが明らかにされています。人の場合はどうなるのか、これからの再生医療の進展が楽しみですね。



「山の表土」の不思議な力


私たちはいま「愛と調和、互恵と共生」の社会へ至る過渡期を生きているように思われます。『初期化』というのは、そんな現代人のキーワードになるのかもしれません。


半世紀以上前の話ですが、ひまな時にはよく京都御所に行き、芝生の上でぼーっとしながら昼寝をしたり本を読んだりしたものです。夏になるとセミの大合唱が始まります。


セミは一週間のイノチを得るため、3年も4年も土の中で準備期間を過ごすといわれています。そして与えられた一週間を精一杯、青春を謳歌するかのように生き抜きます。


あるとき、京都御所にはあんなに多くのセミがいるのに、何故か死骸を見かけないことに気がつきました。山に行くと動物の死骸が見つからないといわれていますが、京都御所にもそんなエネルギーが満ちているのかもしれません。


どうして山では動物の死骸が消えるのか?
―――人生の大半を費やしてその謎の解明に取り組んだのが矢部栄次さんです。ブタの研究をしていた矢部さんは、ブタの死骸を山に持って行って、ほんとうに消えるのかどうか確かめたところ、あるとき死骸が跡形もなく消えてしまったというのです。


それから矢部さんの研究が始まりました。その結果、厚さ2㎝くらいの山の表土にその秘密があることを突きとめました。そこで、表土と同じ性能をもつ土を作ろうとするのですがなかなかうまくいきません。木の葉などの有機物を混ぜて発酵させると、どうしても熱を生じるのですが、山の土は熱を生まずに発酵しているのです。
山の土には人知を超えた叡智が満ちているようなのです。


気の遠くなるような研究を何年も積み重ね、ついに矢部さんは「表土」を再現することに成功しました。この土に生ごみを入れてみると、生ゴミはどんどん消えていくではありませんか!いくら入れても消えてしまい、土のかさが増えることもありません。


ある日、不思議な出来事が起こりました。交通事故で腰が外れるような重傷を負った猫が土の中に入り、5日ほど経って出てきたときには、すっかり元気になっていたのです。


この技術を養豚に活用すると、毛のつやがよくなり、豚舎の臭いも糞の悪臭も消えてしまいました。100%遺伝子組み換えの飼料を与えているにもかかわらず、ウイルス感染による突然死をはじめ病気がなくなりました。


日本のブタの最年長記録はその当時10歳だったのが、この土で育ったブタは19歳(人間に換算すると190~200歳)まで生きるようになり、鶏も同様に寿命・産卵寿命ともに2倍に延びました。



キーワードは【初期化】


「山の表土」には、地球誕生以来発生した生物が生きていくために必要な初期情報が、一切合切もらすことなく含まれているのではないか、と矢部さんは考えました。


この地球上に生を受けた生物は、生きていくために必要な情報をすべて与えられて誕生してくるといってよいと思います。ところが現代社会に生きる私たちは、さまざまな合成化学物質、人工的な電磁波、遺伝子組み換えされた食べ物など、元来自然界に存在しなかった不自然なものにふれざるを得ない暮らしを余儀なくされています。


すべての生命体がもっているはずの初期情報が乱れることによって、現代社会には病気を始めさまざまな不調和が発生していると考えられます。


矢部さんが再現した「山の表土」から抽出したのが『はじまり』です。『はじまり』を飲むことによって、複雑で不自然な情報の【初期化】がうながされ、初期情報の阻害要因が取り除かれると考えられるのです。


私どもでは「体と心と宇宙を結ぶ」という理念をもとにバンクシアフィットネスをご提案しています。メイン・テーマは、人間の中にあって「癒し」の働きをしてくれている植物性器官を活性化することです。内臓をはじめとする植物性器官は、脳がつくり出すストレスの攻撃を受けて、活力を失いつつあるのが一般的な姿です。


植物性器官には、体の内部環境を調えて「元気の力」をフルに発揮するための「初期情報」がインプットされているにもかかわらず、現代人はこれを忘れているように見えます。植物性器官をコントロールしている自律神経の失調に苦しんでいる人が急増しています。


いま必要なのは、植物性器官の活性化、すなわち体の【初期化】です。




Posted by THDstaff at 10:00